「米国市場全体に投資するETF」VTIと「全世界に分散する投資信託」オルカン。どちらも長期積立の定番として名前が挙がりますが、投資対象の範囲だけでなく、ETFと投資信託という買い方そのものが異なります。この記事では両者の違いを事実ベースで比較し、判断材料を整理します。
積立タイムマシン編集部
最終更新: 2026年8月
本記事は金融庁・JPX・MSCI・S&P Dow Jonesなどの公開情報と、積立タイムマシン独自のシミュレーションデータをもとに作成しています。
先に結論をお伝えします。
※ どちらも低コストで長期積立に使われる商品であり、優劣を断定できるものではありません。投資対象の範囲と買い方の違いで選択が分かれます。
VTI(バンガード・トータル・ストック・マーケットETF)は、バンガード社が運用するETFで、米国の上場株式ほぼ全銘柄を対象にしています。大型株中心のS&P500と異なり、中小型株も含めて約3,500銘柄をカバーする点が特徴です。日本では楽天証券の「楽天・全米株式インデックス・ファンド(楽天VTI)」として投資信託化されており、証券会社を通じて円建てで積み立てることもできます。
米国市場を「1銘柄漏らさずまとめて買う」設計のため、S&P500より裾野の広い米国分散ができます。ETF本体(VTI)は米国市場での売買が必要ですが、楽天VTIのような投資信託経由であれば国内証券会社から円貨で積立設定ができます。
「オルカン」は「eMAXIS Slim全世界株式(オール・カントリー)」の愛称で、MSCI ACWI(All Country World Index)に連動する投資信託です。先進国・新興国を合わせた約3,000銘柄をカバーし、時価総額の比率に応じて世界全体に自動で分散投資します。
米国だけでなく日本・欧州・新興国も含めて世界全体へ分散されるのが最大の特徴です。証券会社の100円からの自動積立に対応しており、投資信託として購入・売却の手間が少ない設計になっています。
| 項目 | VTI | オルカン |
|---|---|---|
| 投資対象 | 米国上場株式ほぼ全銘柄(1ヵ国) | 先進国・新興国(全世界) |
| 銘柄数 | 約3,500銘柄 | 約3,000銘柄 |
| 形式 | ETF(楽天VTIは投資信託) | 投資信託 |
| 2022年リターン | 約−19.4% | 約−18% |
| 2023年リターン | 約+26.3% | 約+23.4% |
| 経費率 | 年0.03% | 年0.05775% |
| NISA対応 | ○ 成長投資枠(楽天VTIはつみたても可) | ○ つみたて・成長両対応 |
※経費率・年間リターンはlib/funds.tsのデータに基づく参考値です。ETF本体VTIの経費率は米国上場ETFとしての水準、楽天VTI(投資信託)は別途信託報酬が設定されています。
実際の運用成績データをもとに、積立タイムマシンのシミュレーション機能で計算した結果です。
【2020年1月〜2025年6月】毎月3万円積立
VTI
+84万円
+42.6%
元本 198万円
評価額 282万円
オルカン
+77万円
+39.1%
元本 198万円
評価額 275万円
【2015年1月〜2025年6月】毎月3万円積立
VTI
+412万円
+109.1%
元本 378万円
評価額 790万円
オルカン
+355万円
+94.0%
元本 378万円
評価額 733万円
読み取れること
※過去の実績データに基づくシミュレーションです。配当再投資込み・手数料・税金は考慮外。将来の成果を保証するものではありません。
下落局面での値動きの差は、この2商品を比較するうえで重要なポイントです。
インフレ・利上げショック(2022年)
2022年のVTIは約−19.4%、オルカンは約−18%でした。米国市場全体が下落した局面では、米国比率が約6割のオルカンも連動して下落しますが、非米国資産を含む分だけ振れ幅がやや異なります。
▶ 両者とも下落、振れ幅に差
コロナショック後の回復局面(2020年)
2020年のVTIは約+21.3%、オルカンは約+16.3%でした。米国株比率が高いオルカンも米国市場の回復の恩恵を受けましたが、VTIは米国100%であるためより直接的に反映されました。
▶ VTIの方が米国相場に直結
VTIは米国市場に100%連動するため、米国の景気動向・金利政策の影響を直接受けます。オルカンは非米国資産も含むため、米国以外の地域の動きが下支え・下押しの両方に働くことがあります。
VTIとオルカンを比較するうえで、投資対象の違いと同じくらい重要なのが「買い方」の違いです。
「自動積立の手軽さ」を重視する場合はオルカン、または投資信託化された楽天VTIが選ばれます。「ETFとして自分のタイミングで売買したい」場合はVTI本体が選択肢になります。
新NISA(2024年〜)のつみたて投資枠は、金融庁の基準を満たした投資信託・ETFのみが対象です。オルカンはつみたて投資枠・成長投資枠の両方で購入できますが、VTI(ETF本体)は成長投資枠での購入となります。
新NISAで選ぶ際のポイント
VTIが向いている人
オルカンが向いている人
Q. VTIとオルカンの違いは何ですか?
VTI(バンガード・トータル・ストック・マーケットETF)は米国の上場株式ほぼ全銘柄(約3,500銘柄)に投資するETFです。オルカン(eMAXIS Slim 全世界株式)は先進国・新興国合わせて約3,000銘柄に投資する投資信託です。VTIは米国100%、オルカンは全世界分散という点が最大の違いです。
Q. 分散性が高いのはVTIとオルカンのどちらですか?
国際分散という意味ではオルカンが上です。オルカンは米国以外の先進国・新興国にも投資しています。一方VTIは米国のみですが、米国内では中小型株も含めた幅広い銘柄分散が行われています。「世界全体への分散」ならオルカン、「米国内での徹底分散」ならVTIという違いです。
Q. 初心者にはVTIとオルカンのどちらが購入しやすいですか?
オルカンは証券会社で100円から金額指定・自動積立ができ、新NISAのつみたて投資枠でも購入できます。VTI(ETF本体)は米国市場での口数単位の売買が必要です。ただし楽天VTIのように投資信託化された商品を選べば、オルカンと同じ感覚で円貨積立ができます。
Q. 新NISAならVTIとオルカンどちらが向いていますか?
つみたて投資枠を使って毎月自動積立したい場合はオルカンが使いやすい商品です。VTI(ETF本体)は成長投資枠での購入となります。証券会社によっては楽天VTIのようにつみたて投資枠に対応した投資信託形態も選べるため、購入前に取扱商品を確認する必要があります。
Q. 手数料はVTIとオルカンのどちらが安いですか?
経費率ではETF本体のVTIが年0.03%、オルカンは年0.05775%です。どちらも業界最低水準に位置しており、手数料の差が長期的な結果を大きく左右する水準ではありません。
Q. VTIとオルカンを両方持つのはありですか?
見られる組み合わせの一つです。オルカンをコアとして世界分散を確保しつつ、VTIで米国への配分を厚くする方法です。ただしオルカンにも米国株が含まれるため、両方持つと結果的に米国比率がさらに高まる点は理解しておく必要があります。
まとめ:投資対象の範囲と買い方の違い
VTIは米国市場への集中投資、オルカンは全世界への分散投資という違いに加え、ETFと投資信託という買い方の違いもあります。どちらが絶対に優れているという答えはなく、投資対象の範囲をどこまで広げたいか、自動積立の手軽さを重視するかで選択が分かれます。
本サービスのシミュレーションは過去データをもとにした参考情報です。将来の運用成果を保証するものではありません。投資判断はご自身でお願いします。データについて
実際にVTIとオルカンを同じ条件で積み立てた場合の結果は、シミュレーションでも確認できます。 あなた自身の開始年・毎月の積立額で、リアルな数字を体感できます。
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