損益通算・繰越控除とは?NISAでは使えない理由と具体例

課税口座(特定口座・一般口座)で投資による損失が出た場合、他の利益と相殺する「損益通算」や、損失を翌年以降に持ち越す「繰越控除」という制度があります。この記事では2つの制度の仕組みと、新NISA口座の損失には適用されない理由、具体的な計算例を整理します。

この記事のポイント

損益通算は、同一年の利益と損失を相殺できる制度

課税口座(特定口座・一般口座)で複数の商品を保有している場合、ある商品の譲渡損失を、同じ年の他の商品の譲渡益・配当と相殺できます。相殺後の利益に対してのみ課税されるため、税負担を抑えられます。

繰越控除は、相殺しきれない損失を最大3年間繰り越せる制度

損益通算してもなお損失が残る場合、確定申告をすることでその損失を翌年以降最大3年間繰り越し、将来の利益と相殺できます。ただし繰り越す年ごとに継続して確定申告することが条件です。

新NISA口座の損失は「なかったもの」として扱われる

新NISA口座内で生じた損失は、税制上「なかったもの」として扱われるため、課税口座の利益と損益通算することも、繰越控除の対象にすることもできません。非課税の裏返しとして、損失についても課税口座とは別枠で扱われる仕組みです。制度は将来変更される可能性があります。最新情報は金融庁・お取引の証券会社等の公式情報をご確認ください。

積立タイムマシン編集部

最終更新: 2026年7月

本記事は金融庁・JPX・MSCI・S&P Dow Jonesなどの公開情報と、積立タイムマシン独自のシミュレーションデータをもとに作成しています。

制度情報の確認状況

  • 上場株式等の譲渡損失の損益通算・繰越控除の制度」を2026-07-18国税庁「上場株式等の譲渡損失の損益通算及び繰越控除」で確認出典を見る
  • 新NISA口座の損失の取り扱い」を2026-07-18金融庁 NISA特設ウェブサイトで確認出典を見る

損益通算の仕組み

課税口座(特定口座・一般口座)で保有する上場株式・投資信託を売却して損失が出た場合、同じ年に生じた他の商品の譲渡益や配当・分配金と相殺できます。これを損益通算といい、相殺後の金額に対してのみ税金がかかります(出典:国税庁「上場株式等の譲渡損失の損益通算及び繰越控除」)。特定口座(源泉徴収あり)1口座内であれば、証券会社が年間を通じて自動的に計算します。

繰越控除の仕組みと確定申告の必要性

損益通算してもなお相殺しきれない損失が残った場合、確定申告により翌年以降最大3年間、その損失を繰り越すことができます。繰り越した損失は、翌年以降に生じた利益と相殺されます。繰越控除を継続するには、損失が生じた年だけでなく、繰り越している間の各年も継続して確定申告を行う必要があります。

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新NISA口座の損失に損益通算・繰越控除が使えない理由

新NISA口座は利益が非課税になる制度であるため、税制上、その裏返しとして損失も「なかったもの」として扱われます。そのため、新NISA口座内で生じた損失を課税口座の利益と相殺したり、繰越控除の対象にしたりすることはできません(出典:金融庁 NISA特設ウェブサイト)。制度は将来変更される可能性があります。最新情報は金融庁・お取引の証券会社等の公式情報をご確認ください。

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具体例で見る損益通算・繰越控除

課税口座でA社株を50万円の譲渡益、B社株を30万円の譲渡損失で売却した場合、損益通算により相殺後の20万円(50万円−30万円)に対してのみ合計20.315%が課税されます。仮にB社株の損失が70万円あり、A社株の利益(50万円)で相殺しきれなかった場合、残る20万円の損失は確定申告により翌年以降に繰り越せます。一方、これらの取引が新NISA口座内で行われていた場合、利益・損失とも非課税・対象外となり、この損益通算・繰越控除の計算自体が発生しません。

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よくある質問

Q. 損益通算はどんな場合に使えますか?

A. 同じ年に、課税口座(特定口座・一般口座)内で複数の商品を売却し、一方が譲渡益、もう一方が譲渡損失だった場合に、確定申告(または特定口座の年間取引での自動計算)によって相殺できます。配当・分配金との相殺も可能です。

Q. 繰越控除を使うには何が必要ですか?

A. 損失が出た年に確定申告を行い、その後も損失を繰り越す年ごとに継続して確定申告することが必要です。途中で申告をしなかった年があると、繰り越していた損失の扱いに影響する場合があります。

Q. NISA口座の損失を課税口座の利益と相殺できないのはなぜですか?

A. NISA口座は非課税制度のため、税制上、利益に課税されない代わりに損失も「発生しなかったもの」として扱われます。課税口座同士でのみ成立する損益通算・繰越控除の対象には、NISA口座は含まれません。

Q. NISA口座と課税口座を両方保有している場合、どちらで損失が出たかで扱いは変わりますか?

A. 変わります。課税口座で出た損失は損益通算・繰越控除の対象になりますが、NISA口座で出た損失は対象外です。同じ商品・同じ値下がりでも、保有している口座によって税務上の扱いが異なります。

Q. 特定口座(源泉徴収あり)でも損益通算はできますか?

A. 同一の特定口座内であれば証券会社が自動的に損益通算します。異なる証券会社の特定口座間や、他の所得との通算を行う場合は、確定申告が必要になります。

こんな人におすすめ

課税口座で複数の商品を保有しており、損益通算の仕組みを確認したい方

投資で損失が出た年の確定申告・繰越控除を検討している方

NISA口座の損失がなぜ課税口座と相殺できないのか理由を知りたい方

よくある失敗パターン

NISA口座の損失も確定申告すれば損益通算できると誤解する

NISA口座内の損失は税制上「なかったもの」として扱われるため、確定申告をしても課税口座の利益との損益通算・繰越控除の対象にはなりません。

繰越控除は一度申告すれば自動的に続くと誤解する

繰越控除を継続するには、損失を繰り越している期間中、毎年継続して確定申告を行う必要があります。申告をしない年があると、繰り越していた損失の扱いに影響する場合があります。

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